ようこそClub SLAZYへ!〜『Club SLAZY』入門〜
私は自分の好きなシリーズ舞台を挙げて欲しい。と言われたら、以前ブログに書いた『メサイア』シリーズと『Club SLAZY』シリーズを真っ先に挙げます。この大好きで素晴らしいシリーズ『Club SLAZY』の紹介を以下少しさせてください。
『Club SLAZY』シリーズのあらまし
”大都会の片隅「DILLY DALLY ST 24-7」に存在すると言われるメンズキャバレー『Club SLAZY』そこへ訪れることが出来るのは「ガーネットカード」と呼ばれる招待状を手にした深い悲しみを持つ選ばれた女性のみ。重厚で趣のある扉を開けると美しい男性達が華麗に歌い、踊り、女性たちを魅了する…”
三浦香さんが脚本・演出をされている完全オリジナルの舞台『Club SLAZY』
”SLAZY”とは”S級の怠け者”と言う意味の造語で、ショーステージでキラキラしているスター達はショーの幕が降りると怠け者だったり、気弱だったり、ナルシストだったり…途端にちょっと残念になってしまう、人間臭い愛すべき登場人物達の深い人間ドラマが描かれます。
シリーズは昨年末に一区切りを迎えましたが、年内のテレビドラマ化も決定しています。
シリーズ本編は以下の6作とライブDVDが1本。
記念すべき1作目。遠藤くんがSLAZYにやってきてEndになるまでの話。まだ先の上演が決まっていない、シリーズとして固まっていない段階の話なので、他のシリーズ作品と比べるとちょっと雰囲気が違う印象です。
Cool Beansの心に影を落とした7年前の出来事を、彼の先輩であるKingとOddsの話を紐解きながら、LAZY達の葛藤・嫉妬・悲哀が描かれる2作目。少し落ち着いた雰囲気の中、静かに描かれていく心理的な描写が観ていて段々沁みてきます。
トップエースと2ndエースがいっぺんに不在になってしまった店に突如現れたRetiとRiddle。彼らから店を守る為にCool Beans・Deep・Endが立ち上がって成長するちょっと体育会系のノリの3作目。こちらの作品から伊勢直弘さんが脚本に加わります。
8年前にやってきた”ドン底兄弟”の話を軸に現在と過去が交錯し意外な登場人物の意外な過去が明らかになる4作目。3から手前はどこから見ても比較的話が分かりますが、個人的に4・AW・finはセットで見て欲しい作品。
- アーティスト: 大山真志,加藤良輔,法月康平,Kimeru,東啓介,後藤健流,長倉正明,石坂勇,K-TA2,池口祐太,今井稜,橋本有一郎
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3年前Actがトップエースになる少し前の話。シリーズのスピンオフ的な作品。過去作で散りばめられたSLAZYの世界観の謎を明かしながら同時に根底から覆してより謎を深める衝撃作。内容も他の作品に比べてダークで重め。
Club SLAZY The Final invitation~Garnet~ [DVD]
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現在のClub SLAZYに”改革”がもたらされ、自分達の立場や存在を見つめ直しながら未来へ進むこれからのClub SLAZYの話。2時間半息つく間も無くほぼほぼ歌って踊り続ける凄い舞台(笑)過去のシリーズのエッセンスも随所に散りばめられていて、シリーズ観続けた後最後に訪れる多幸感は言葉に出来ません。
「Club SLAZY 大感謝祭」みたいな内容。ライブと銘打ってありますが、ちゃんとお芝居してます。登場人物がシャッフルで劇中の持ち歌を歌うシリーズ観続けたファンにとって夢の様な内容をやってのけてくれました。カバーする側もされる側も凄い。SLAZYの出演者のレベルの高さを再認識するライブ。
登場人物の紹介
Club SLAZYにはシリーズを通して魅力的な登場人物が沢山います。
物語の中では
ソロステージを許された選ばれし5人のパフォーマー「LAZY」(序列はトップエース・2ndエース・3rdスター・4thスター・5スターの順)
Club SLAZYを支える裏方「Mystic」
LAZYを目指して研鑽する見習いパフォーマー「Newjack」
と言う絶対的な順位づけと共にそれぞれの役割があります。
それぞれの役割を明記しながらここでは登場人物を紹介させてください。カッコ内は出演している作品を示します。(Another Worldは”AW”、Finalは”fin”と表記します。ライブは今回割愛します。すいません。)
Act/大山真志(1・AW)
現役トップエース。ステージ上で男女問わず魅了する色気の持ち主。上下関係の中で揉まれてきた、自分に厳しく人にも厳しいザ・体育会系。訳あって自分探しの旅に出てしまう。
恵まれた体格から繰り出されるキレキレのダンスとバリトンの歌声は圧巻。とても声が響いて通るしダンスも見栄えがする。
Bloom/太田基裕(1・2・4・fin)
現役2ndエース。Actがいなくなってからは代理トップエースも兼任。ステージ上ではクールなエロスを振りまくが、一歩舞台を降りれば”天国への階段を登りたがる”死にたがりでオバケ大好きなマイペース不思議ちゃん。Deepと仲が良い。
独特のアダっぽい声質にぴったりのナンバーを色っぽく歌う。手つきがセクシー。ダンスは少なめ。
CoolBeans/米原幸佑(1・2・3・4・fin)
現役3rdスター。Club SLAZYのマシンガンナルシスト。自分大好きな超俺様と見せかけて、誰よりも仲間思いで優しくて面倒見が良くて繊細。同時に”弱くて惨め”な自分と向き合う強さも持っている。AWも最終日に滑り込んだシリーズ全てに出演しているMr.SLAZY。
SLAZYきってのアッパーチューンを歌い、彼が歌うととにかく盛り上がる。と見せかけて泣かせるバラードも上手い。
Deep/加藤良輔(1・3・4・AW・fin)
現役4thスター。酒癖と怠け癖が酷く、いつも酔っ払いながらいかにショーステージをサボるか思案している。 Endの教育係…と見せかけてお世話をされている。Bloomと仲良し。
トリッキーな動きのダンスと明るい声質を生かしたポップでハッピーな曲調のナンバーを歌う。ジャジーで色っぽい曲もお手の物。
End/井澤勇貴(1・3・fin)
現役5スター。恋に敗れた人生後ろ向きな青年。何故か男性には届かない筈のガーネットカードを手にしてClub SLAZYにやってきた。弱気な割に強気。他のLAZYのツッコミ役。Deepのお世話係。
とにかくダンスが上手い。あと脚が長い。透明感のある澄んだ歌声でバラードもセクシーなナンバーも歌い上げる。
Q/法月康平(2・3・4・AW・fin)
ショーステージの裏方であるMystic。LAZYやNewjackを始めとするお世話係もやっている様子。 柔らかい物腰と丁寧な口調でそつなく仕事をこなし、周りを見透かした様な隙の無い言動をする。
上に通る伸びのある声で、様々な感情が溶け込んだミュージカルナンバーを歌い観客をSLAZYの世界へ誘い込む。
Odds/藤田玲(2・4・fin)
7年前の2ndエース。Cool BeansとDooBopの教育係。計算高い俺様ナルシストだが、本当は繊細で優しい人間好き。過去に店を辞めてしまっていたが、とある事情でSLAZYに呼び戻される。
芳しい色気を振りまきながら、色っぽい歌声で観客を誘惑していく。華麗なステッキさばきと客降り破壊力は最強。
Zs/藤原祐規(1・2・3)
Club SLAZYの支配人。三度の飯よりとにかく寝ることが大好きな三年寝太郎。何も考えていないように見えて、本当は誰よりも先を見据えて計算が出来るキレ者であり、同時に誰よりも愛情深い人物。
Fly/才川コージ(1・2・3・4)
Cool Beansを神の様に崇めているNewjackの一人。自分がLAZYになれる日に向け日々励んでいる。軽やかな身のこなしのバク転は見もの。
Glaf/後藤健流(1・2・3・4・AW)
Cool Beansを神の様に崇めているNewjackのもう一人。”雰囲気眼鏡”と人から言われることを最も嫌っている。
パキパキでキレキレのダンスパフォーマンスは随一。
自分達より入店が後のEndが先にLAZYになってしまった為、FlyとGlafは彼に対しての当たりがキツイ。
DooBop/倉貫匡弘(4・fin)
Cool Beansと共にOddsの下でNewjack時代を過ごした同期。今は店を退いてしまっているが、訳あって再び店に姿を現わす。
Ya/大須賀純(1)
ZsがLAZYで2ndエースをやっていた時代の同期のLAZYのトップエース。ZsにそそのかされSLAZYを2人で抜け出したまま彼だけ店に戻らなかったが、数年後目的を持ってSLAZYに舞い戻って来る。
King/渡辺大輔(2)
7年前のトップエース。店に来た人々全ての幸せを願いショーステージに立っていたが、1人の女性に恋をしてしまったことで徐々に変化していく。
Peeps/山下翔央(2)
新人の見習いNewjack。Club SLAZYにNewjackとしてやってきたの何か理由がある様子。
突然Club SLAZYに現れた謎の二人組。
LAZYも脅かすレベルの歌とダンスを披露してくる凄腕パフォーマー。無口でミステリアスな雰囲気を持つのがReti。明るくお喋りなのがRiddle。
Will/東啓介(AW)
3年前のトップエース。先見の明があるにも関わらず、常に弱気で後ろ向き。プレッシャーにもすこぶる弱く、いつもビクビクオドオドしている。
V.P/Kimeru(AW)
3年前の2ndエース。ちょっと(?)お節介で口煩い。エレガントにあることを信条とし、Willのことを常に気にかけている。
Eyeball/長倉正明(AW)
Actが面倒を見ていたNewjack。後に5スターに昇格する。個性派揃いの3年前のSLAZYの中である意味1番しっかり周りを見ていた人物。しかし、とある理由から店から姿を消す。
Mr.X/石坂勇(3・AW)
Club SLAZYのオーナー。ただならぬ雰囲気を持つナイスミドル。常に変革を求め、停滞や否定をする人物達に試練や罰を与える。SLAZYの中では彼の言うことは絶対。
『Club SLAZY』と言う作品の魅力
まず特筆すべきは煌びやかで華やかなショーステージ!キャラクターの当て書きの様な曲や歌詞に加えて、演じる俳優さんもアイコンになる様な声や歌い方をする幅広く様々なタイプの”歌が上手い”方を見事に揃えています。(この手法はなんとなく歌を売りにしたアニメ作品の中で歌われるキャラクター毎のキャラクターソングを彷彿とさせると私は思ってます。)
その魅力の一端を担っているのは何と言ってもAsuさんが作詞・作曲されている楽曲。ミュージカルを観ても曲が印象に残らない作品って結構あるんですが、SLAZYはジャジーな曲にポップな曲、ミュージカルナンバー…と曲の雰囲気も幅広いのに、どの曲も2、3回聴くと何となくメロディと歌詞がなぞれてしまう。それくらいキャッチーで耳に残ります。加えて振り付けの當間さんの曲とキャラクターに合わせたダンスの振り付けも見事としか言いようがありません。
加えて出演者のパフォーマンスのレベルも非常に高い。
「よくここまで歌って踊れるイケメンを揃えたな!!!」
と驚く位に。決して2.5次元の舞台ではありませんが、キャラクターの立て方やキャラクターの誇張の仕方は印象として近いものがあるかもしれません。
かと思えばストレートプレイのパートではキラキラしたショーステージの裏で巻き起こる騒動を各登場人物のキャラクターを掘り下げながら、それぞれの心情や葛藤、そして観ている我々が驚くどんでん返しが丁寧に描かれ、観ている我々も『Club SLAZY』のショーステージを観に来ている観客でもあり、同時に別の役を担う存在でもあり…と観客も含めて空間全てが『Club SLAZY』の世界に生きる存在と化していきます。
出演俳優さん達のレベルの高い演技もパフォーマンスもガッツリ楽しめる。ミュージカルでもストレートプレイでもなく、寧ろ両方の美味しいところが全て見られる。そして我々観客も含めて世界観を作り上げる唯一無二の作品。それが『Club SLAZY』と言う作品なのです。
何より作品全てに製作スタッフや俳優さんの愛情が随所に見て取れる本当に素敵な舞台です。だからこそファンにも愛されている作品なのだと思います。
見ていて最後には誰かを思う大切な気持ちをいつも呼び起こさせてくれる『Club SLAZY』色々な人に本当に観てもらいたい素敵な作品です。
是非このブログのどこかで少しでも興味をもって戴いた方はシリーズどこからでも構わないので手に取って貰えると嬉しいです。