2.5次元舞台を2.5次元以外の目的で見に行った話
先日(と言っても2ヶ月位前になってしまいましたが…)「遥かなる時空の中で6 〜幻燈ロンド〜」を観劇してきました。
舞台としてもとても面白い作品で、女性向けシミュレーションゲームが元なので色々とルートがあるのでしょうが、話もとても纏まっていて終わる頃には世界観にどっぷり浸っていました。
しかし、ファンの方に大変申し訳ないのですが、遥かは元になっているゲームや登場人物は勿論知っているんですけど、実はプレイをしたことがないのです。
(すいません!あ、石投げないで!!すいません!!!)
それならば何故観に行ったのか…というと、この舞台の脚本・演出を手がけている西森英行さんの演出がとても好きで、他の演出作品も見てみたいと思ったことと、西森さんが手がけている舞台である「メサイア」や「悪党」に出演していた橋本真一くんの他の舞台を見てみたかったことが一番に挙げられます。
それ以外もメサイアで黒子を演じていた小谷さんや、SLAZYのEyeball役の長倉くん、デビミュのメィジ役の吉岡さん。
アンサンブルの方もメサイアで拝見したことのある方が多く、極め付けは殺陣指導が六本木さん。そして何より主人公の女の子が可愛かった…!
普段拝見している舞台でよく見ている方ばかりで、
「これは行くしかないでしょ!!!」
と軽率にチケットを取ったのが成り行きです。
結論としては先述した通り舞台としてもとても面白かったのですが、2.5次元舞台に初めて出会った時の雰囲気や醍醐味を改めて肌で味わうことが出来る稀有な経験が出来た気がします。
西森演出の妙
西森さんの演出は好きな所はいくつかあるのですが、丁寧な心理描写の掘り下げと、話の筋道の見せ方が非常に分かりやすい所が特に好きなんです。
2.5次元の舞台は原作ありきなので、原作ファンの人が多く当然見に来ます。そして、これまた当然なのですが、アニメで言う1クール位の情報量を2〜3時間に纏めているものが多く、その分内容が駆け足だったり、「内容知ってるから解るけど、そんないないとは思うけど初めて見る人に解りづらいんじゃないかなあ?」という印象を受けるもの結構あるんですよね…。でも、西森さんの演出は「この作品はどういった世界観の上でどういう登場人物で成り立っているか。」という紹介を冒頭で解りやすく紹介をしてくれます。登場人物紹介の見せ方が各作品において趣向が異なるのも好きです。そこからの話の筋道の立て方もとても解りやすい。冒頭に書いたように作品ファンは勿論、作品自体の話や世界観を知らなくてもその世界観にすっと入って観終わった頃にはその世界にどっぷり浸らせてくれる感じ。見に来た観客に世界観を魅せる演出と解りやすい筋道の脚本は今回も健在でした。
2.5次元舞台の醍醐味
2.5次元舞台の醍醐味は何と言っても
”2次元の中にしか存在しなかった登場人物が次元を超えてこの3次元の世界に存在したと錯覚させること”だと思っています。
「遙かなる時空の中で」というコンテンツは歴史もあるし、メジャーなタイトルではありますが、決して今物凄く流行している…というコンテンツではないと思います。その分作品をずっと愛している根強いコンテンツのファンしか来ない。そう言った作品を愛している人の御眼鏡に適う作品を作るには生半可なものでは通用しないし、集客も出来ない…と思うのです。
しかし、舞台の幕が下りた後に両手で口元を覆って目を潤ませている人や、「ヤバイ!ヤバイ!ヤーバイ!!」と口にしている人、そして終演後の物販の長蛇の列を見て2.5次元のコンテンツとしても素晴らしいものだったんだなあ。と強く感じました。
2.5次元コンテンツ。私もとても好きですが、流行もあり濫立しているのは決して否定しません。作品や作品のファンに対して敬意を感じない舞台も正直あります。そう言った点に関しては「遙かなる時空の中で」の舞台は俳優さんや、スタッフさんの丁寧な気持ちを感じることが出来る良い舞台でした。
来年の年末に遙かシリーズで最も人気があると言っても過言ではない「遥かなる時空の中で3」が西森さんの演出は変わらず、脚本に坪田文さんを迎え来年の年末に舞台化も決定しました。遥か3は実は積みゲーになっているので(本当にすいません!!!)今度はゲームをしっかりプレイしてまた観劇したいな…と思っています。