【観劇感想】ミュージカル『デパート!』

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皆さんお久しぶりです。こんにちは。
メサイア』観劇後抜け殻だったのと(笑)しばらく観劇予定が無かったので更新が空いてしまいました。
もっと観劇以外のブログもマメマメ書くようにしたいです。

さて、今回はミュージカル『デパート!』観劇してきた感想にお付き合いして頂ければ幸いです。(こちらも観劇してから少し間が空いてしまいましたが…)端的に言って本当にめちゃくちゃ素晴らしい素敵な作品でした!

きっとどこかに存在する誰かに似た人たちが繰り広げる優しい群像劇

「デパート!」は架空の歴史あるデパート”スクエアデパート”の中でクリスマス間際に繰り広げられる群像劇です。

仕事は出来るけどちょっと気弱で、自分の意思が無く周りに流されがちな渉外で社長令息のモリス。

そんな息子を心配するやり手のバイヤーであり社長のファーガソン

バリバリのキャリアウーマンでありながら家庭と仕事とのそれぞれのあり方に悩むビビ。

やる気に溢れて自分の意見を貫く為なら上への意見もいとわないやり手のデパートガールナミ。

スクエアデパート内の情報や噂話はお任せ!なチャーミングなエレベーターガールマリ。

地方から出て来た素朴で真面目な刃物職人の青年ピート。

俳優を目指しながらもオーディションに落ち続け、警備員のバイトをするイギー。

デパートでのショッピングを楽しむ、叩き上げの資産家のお得意様オズマン夫妻。

そして…そんなスクエアデパートを愛し、スクエアデパートの行く末を心配する創立者トト。

そんなどこかにいそうで、誰かに似ているスクエアデパートに関係する人々が、誰でも抱えていそうなそれぞれの悩みや事情を抱えながら、それぞれの道をゆっくり歩いていきます。


私が個人的に劇中で印象に残っているシーンは2つ。


まず1つはピートが父親の才能を越せないと確信し、取引を辞めたいとの申し出をするシーン。

ピートのその申し出がきっかけでモリスは父の偉大さに改めて気づきます。それぞれ偉大すぎる父親を持つが故の葛藤と苦悩。それぞれ似たような境遇で、似たような立場でありながら、それぞれの選んだ道は違います。そして、どちらの選んだ道もきっと苦しくて、同時に晴れ晴れとした未来に繋がっている。「頑張れ…息子よ…!」と別に自分の息子でもないのにエールを送って応援したくなりました。


もう1つのシーンは、オズマン夫妻が2人でクリスマスをスクエアデパートで過ごすシーン。

クリスマスという少し特別な日を、スクエアデパートという少し特別な場所で過ごす夫妻。何気ない時間。何気ない会話。ちょっと特別だけどいつも通りの日常であるかの様な風景。でも2人に残された時間が長くはないことを。そしてこの何気ない瞬間が何よりも替え難い、大切な掛け替えのない瞬間であることを。このシーン、涙が止まらずに私は客席でずっと泣きながら観ていました。正直書いている今でも思い出して泣けて来ます。「ほら、こうすれば泣けるだろう?」と言う御涙頂戴の哀しみの押し付けではないからこそ、より一層積み重なってきた沢山の互いへの深い愛情と、計り知れない哀しみが歌と演技に溶け込んで泣けてくるのです。

以上は私の印象に残っているシーンであり、それぞれの登場人物にバランスよくスポットが当たり、それぞれの関係性がそれぞれのキャラクターを見せながら絶妙に絡み合うので、好きなシーンや印象に残るシーンを聞いたら十人十色それぞれの感想が出てくると思います。
それくらい「デパート!」キャラクターにも作品自体にも魅力溢れた作品でした。

 

世界観を彩る魅力的な出演者と魅力的な楽曲


デパートは台詞が少なくほぼ全編歌で構成されています。途切れなく歌・歌・歌!!!しかし、出演者の方々の皆歌唱力の高さと滑舌の良さには感服しきりでした。上手い歌の洪水で鈍器で殴られるあの感覚(笑)そして、およそ台詞が歌なのに台詞が聴き取れないストレスがない!出演者の実力の高さを伺い知ることが出来ます。出演俳優さんは皆さんそれぞれの別の作品で拝見したことがある方が大変多かったのですが、特に愛加あゆさんの歌い方と音域の広さに脱帽!あとは、ダブルキャストは橋本真一くんのピートの回に行ったのですが、橋本くんも伸びがあって聴き取りやすい歌を歌う方だなあ。と改めて思いました。
同時にほぼ途切れない曲の演奏を2時間強生演奏で伴奏をされていたプレイヤーの方々にも始終感服しきりでした。(ピアノを弾かれていたのはこのミュージカルの作曲者でいらっしゃる伊藤靖浩さんだったみたいです。私の中で拍手が止まりません。)

先述した内容に重なりますが、魅力的なキャラクター、魅力的な出演者、魅力的な楽曲と演出、そして何より”三越劇場”と言う歴史あるデパートの歴史あるホールで、上演されたからこそより一層の意味と魅力を増した「デパート!」と言う作品。ここまで大きな魅力に溢れているミュージカルに出会えることはなかなかないかもしれません。素敵な作品に出会えたことを感謝する日々です。

また歴史ある”スクエアデパート”の面々と同じ様に歴史ある”三越劇場”で出会える日をねがってやみません。