『Free! the Final Storoke』 を観てきた話~山崎宗介が最高だった~


Free!-the Final Storoke』を観てきた。控えめに言ってもシリーズ最後を飾るに相応しい最高の映画だった。

 主人公の遙の葛藤、彼の泳ぎに魅せられ周りに集まった仲間たちの友情と絆、そしてそれらを通じての遙の成長。

 しかし今回私が一番感動したのは山崎宗介その人なのである。

 私が『Free!』にハマったのは2期のEternal Summerで宗介が出てきたからと言っても過言では無い。元々凛が気になっていたが、1期では遙と凛の組み合わせが個人的にしっくりこず。遙にとっての真琴の様なポジションのキャラクターが出てくれば良いのになと思っていた。そこで満を持して登場してきたのが山崎宗介。……とは言えども出てきた当初は松岡凛強火モンペ(失礼)みたいで苦手だったのだが、凛と宗介のやり取りは私が観たかった凛の表情や内面の掘り下げを引き出していった。そして物語が進むにつれ宗介の本当の願いと目的が明らかになった瞬間に凛に、宗介に、鮫柄のみんなに一気に落ちた。しかし、ESの時点では宗介が水泳を離れてしまうであろうことが見るからに色濃かったのだ。それでも一視聴者としていつか凛と宗介が並んで泳ぐ姿が見られたら良い。例え想像の世界でも。そう願っていたので、シリーズが進み宗介が水泳に復帰するエピソードでも感無量だった。それが……である。

劇中でバックを泳ぐ宗介を見た観客席「おい! 山崎って鯨津の……!」と言うシーンが堪らなく好きなシーンだ。バッタからバックに鞍替えしたのもあるだろうが、同時に宗介がいかに実力者だったかを暗に示している。鮫柄も強豪校である(どの程度界隈で知名度があるかは解らない)が、恐らく都内の強豪校である鯨津の方が有名であり層が厚かったのだろうと考えられる。そんな中で肩を壊すまでトップクラスの実力を誇ってきたであろう宗介は私たちが想像しているより無茶苦茶強かったんだろう。紆余曲折あって一度は辞めようとしていた水泳に復帰し、専門のバッタで凛と肩を並べて泳ぎ、最後は転向したバックで凛とリレーを繋ぎ世界で金メダルを取る……。バック転向のシナリオは最後の布石でありリレーの話で「そう来たか!!!!」と思った。バック専門だった真琴がサポートのポジションに回った時点でこの結末は決まっていたのだろうか。そうだとしたらなんと完璧なシナリオなんだろう。最高だった。私がESの最終回を迎えた後からずっと夢見ていた光景がそこにはあった。「水泳を辞める」と言っていた宗介が世界の舞台に凛と共に返り咲く。私はこの山崎宗介を観る為にFree!をシリーズで追ってきたと言っても過言では無い。それこそ私にとって8年越しに見られた”最高の景色”と言うやつだ。最高としか言えない。本当に最高だった。

 感極まって宗介の話ばかり書いてしまったが『Free!-the Final Storoke』はシリーズの集大成に相応しい話だと思う。シリーズを通して遙が様々な困難にぶつかりながらも人として成長していく姿を見るのは本当に楽しかった。また、遙に大きく影響を与える存在である真琴と凛をそれぞれ精神的支柱になるポジションとライバルとしてけん引していくポジションとしてそれぞれ別のアプローチで遙に関わらせたことも凄く良かったと思う。何より全員が全員競泳の世界を夢見る訳ではなく、真琴が自分から望んでサポートの道に夢を見つけたと言う部分が凄く好きだ。スポーツ系の作品ではとかく一番になることに重きが置かれて描かれるが(そういう世界なので仕方なくもある部分は解る)何も選手で一番を取ることだけが最適解では無く、道は無数にあることを真琴の存在は示しているように思う。肩を並べて同じ舞台で泳ぐ桐島兄弟。自分だけ上の大会に選手として選ばれなくても腐ることなく仲間を鼓舞し自分もより高みへ行こうとする旭。周りを受け入れ始めた金城。自分の夢を見据えながら仲間と水泳を大事にする渚と怜。いつまでも後輩を導く清十郎に、呪縛から解き放たれたアルベルト。彼らの仲間意識は決して馴れ合いではなく、高みへ導く絆なのだ。それぞれの登場人物がしっかり足をつけて希望に溢れたそれぞれの未来を歩んでいる。遙の最後の手紙は恐らくESの最後に埋めたものだろう。その演出もにくい。
 
 京都アニメーションには様々な悲しい出来事があったにも関わらず最後まで『Free!』と言う作品を描き切ってくれたことに感謝しかない。作品が終わっても私たちと共に登場人物たちの未来は繋がっていく。沢山の勇気と希望をくれた『Free!』と言う作品に出会えたことに心から感謝したい。